ささやかで、愛しきものたち
私が心惹かれるのは、どうも王道ではなく脇道にそれたものが多い。王道はどなたかに任せて、私は脇へとなぜだかどんどん行ってしまうタイプなのです。古本屋としてやっていくには、それなりの売れ筋を意識しないといけないのでしょうけど・・・。
先日、つい手に入れてしまったのは、『豆本』。今まで『豆本』に興味はなかったのだけど、一目見て気に入ってしまった。丁寧に作られた装丁であるのに、なんと中身は新聞の切り抜き!!どこのどなたが作ったかは分からないのだけど、『ぜひ、お会いしてみたかった。このセンス好きです。』と思ってしまったのです。古本屋のおじさま達には『それ、どうすんの~?』といぶかしげにされましたが、私は大満足。この豆本、さすが作り手のおめがねにかなった記事で作られているため、読んでみると面白い。せっかくなので一部引用してみましょう。
『もう一度ほしい銀座の露店(パリのセーヌ川沿いの古本屋を覗いている横綱の記事にからめて)』
「日本でもその昔、銀座の夜店に、なかなかいい古本を売っている露店があったものだ。今は縁日などに時どき見かけるが、いかがわしい古本ばかりである。それに古本の市は場所が限られている。月に一度でもいい、銀座の柳の下に古本の露店がならんだら、どんなものだろう」
この文章の書かれた頃に思いをはせるのも楽しいし、古本好きが思う夢(露店の古本屋って素敵ですよね)は同じだなと。この豆本、私のような物好きの手にいつしか渡って行き、大事にされるといいなと思っております。古本とはバトンリレーのバトンのようなもので、古本屋はどなたかに手渡すリレー走者のような仕事なんだなと最近しみじみと思うのでした。
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